躁うつ病

躁状態

「うつ」になる病気には、躁うつ病もあります。

「躁」とは「うつ」の反対で、元気がありすぎることです。

「躁」の時は、うつ状態に反して躁状態といいます。

 

双極性障害

元気のなさすぎる「うつ」の極と、元気のありすぎる「躁」の極、二つがみられるため、双極性障害ともいわれます。二つ(双)の極を持つ障害(病気)ですね。

 

躁病という人はいません。

「躁」があれば必ず「うつ」もあります。なので、躁病という人はいません。

「うつ」だけの人はいます。それが、うつ病です。

「うつ」だけが「うつ病」、「躁」と「うつ」があれば躁うつ病、この二つです。

 

「うつ」で始まる

躁うつ病「うつ」で始まります。

ですから、最初は、うつ病と診断されます。

「うつ」で来院した人が、後に躁をだしてくるかは、最初の時点ではわかりません。

 

「うつ」で来院した人が、経過のなかで躁をだした場合、診断は「うつ病」から「躁うつ病」に変わります。

治療法も変わります。うつ病躁うつ病の治療法の違いは、後で述べます。

 

躁転

躁転という言葉があります。抗うつ薬の副作用といわれています。

 

うつ病のときに言いましたが、抗うつ薬は「うつ病」に使い、元気をだす薬です。

ですから、うつ病抗うつ薬を使った場合、元気がですぎて躁状態になってしまう人がいます。これを躁転といいます。

「躁に転じる」ということですね。

 

この人は、「躁うつ病ではなく、うつ病の人が薬の副作用で躁もでてしまった。」と判断されます。

 

ここで問題があります。

この躁転した人は、本当に薬の副作用で躁状態になったのでしょうか、それとも、もともと躁うつ病で、副作用ではなく、なるべくしてなってしまったのでしょうか。

 

じつは、これは、わかりません。

患者さんに「薬の副作用か」と聞かれても、「わかりません」と答えるしかないのです。

 

しかし、もともと躁うつ病であった可能性のほうが高いです。

 

そもそも、躁転というものが本当に存在するのか疑問が残ります。

もともと、躁うつ病の人は、何をしなくても躁状態をだしてきます。

躁うつ病の人が、うつの時に抗うつ薬を処方されたが、副作用ではなく、なるべくして躁になってしまった。」というのが、もっとも正しい見解と思われます。

 

好発年齢

すべての病気には好発年齢があります。何歳ごろに発症しやすいか、ということです。糖尿病や高血圧なら40代以降ということになります。

 

躁うつ病は、うつ病より発症年齢が若いといわれています。20代も稀ではない、といわれています。

しかし、たしかに早いかもしれませんが、30代半ば以降だと思います。20代での発症は稀です。

 

なぜ、「20代も稀ではない」といわれるのでしょうか。

ここに問題があります。人格障害躁うつ病を誤診することです。

 

人格障害も、うつ状態になります。また、興奮したり暴力をふるったりして、躁状態のようにみえることもあります。

人格障害の好発年齢は、人格が形成される成人早期(20代前半)です。

ですから、人格障害躁うつ病と誤診すると、躁うつ病の発症が20代ということになります。これが、よくみられるミスです。

 

これには、精神科の歴史にふれる必要があります。

人格障害は、治りにくい病気です。薬も効きませんし、問題行動も多いです。

何十年か前に、「じつは人格障害のほとんどが躁うつ病ではないか」とう説が提唱されました。治療法が停滞していたこともあり、多くの精神科医が、これに賛同しました。

 

治療のところでふれますが、躁うつ病には気分安定薬を使います。

人格障害のなかには躁うつ病が多く含まれているから、人格障害気分安定薬が効くのではないか。」と考えられました。

そのため、人格障害気分安定薬が積極的に使われるようになりました。

効果があるという声もありましたが、私的には効果は感じられませんでした。

 

そもそも、やはり人格障害人格障害で、躁うつ病とは違うと思われました。人格障害躁うつ病の違いは、症状のところで述べます。

 

ですが、この考え方は、今でも残っており、人格障害躁うつ病と誤診されることも、しばしばあります。

 

これが、「躁うつ病の発症年齢が20代も稀ではない」といわれる要因の一つだと思われます。

 

ここでも、患者さんに無用な医療をしてしまう大きな問題が起きます。

気分安定薬には、強い薬疹がでるものがあります。

薬疹とは、薬に対するアレルギーで、全身に発疹ができる副作用です。

ひどいと入院しなければなりません。失明することもあります。

 

人格障害の人が躁うつ病と診断され、気分安定薬が処方されたとします。

その結果、重度の薬疹がでて、入院することになりました。

 

この患者さんは、誤診により無用な薬がだされ、かつ、副作用により入院までさせられることになったのです。

 

何度も言いますが、無用な治療は、やってはいけません。

患者さんの不利益になります。そのうえ、副作用が出たとなれば、言語道断です。

 

無用な薬を金をだして買い、そのうえ入院となり、さらに高い医療費を払う。こんなことは、あってはならないのです。

絶対にやってはいけません。

 

病前性格

精神的な病気には、その病気になりやすい人の特徴があります。これを病前性格(病気になる前の性格)といいます。

 

躁うつ病になる人の特徴は、明るく、人情味があり、社交的、親しみやすい、好人物、現実的で環境に順応しやすい、社会的にも成功しやすい人です。

押しが強くて、気前のいい、声の大きな、中小企業の社長さんのような人です。

 

ようするに、つねに軽い躁状態が続いているような人です。

なので、これは病前性格ではなく、すでに病気(躁状態)になっているのではないかとも考えられています。

 

このような考えもありますが、躁うつ病になる人が、こんな感じの人であることに間違いはありません。

 

 

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 日比谷ガーデンクリニック  日比谷・有楽町

 

 

 

次回は、「躁うつ病の症状」を書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。

うつ病#ハッシュタッグ

うつ病のツイートで使えるハッシュタッグの特集です。

うつ病でツイートするとき使ってください。

 

また、これらを調べていくと、うつ病の勉強になります。うつ病への理解が深まると思います。

 

うつ病の特徴#ハッシュタッグ

#発症率:1%

#好発年齢:40歳前後

#極期に重要なことは決定しない

#自殺率:15%

#自殺は回復期に多い

 

うつ病の精神症状#ハッシュタグ

#抑うつ気分

#興味・関心の減退

#喜びの減退

#意欲低下 (精神運動)制止

#思考制止

#自殺念慮 希死念慮

#微小念慮(妄想)罪業妄想

#うつ病性昏迷

#偽認知症

※昏迷と偽認知症に関しては、後で説明します。

 

うつ病の身体症状#ハッシュタグ

#不眠

#食欲低下 体重減少

#性欲減退

#易疲労

#頭痛 頭重

 

うつ病の治療#ハッシュタグ

#抗うつ薬

#三環系抗うつ薬

#選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI

#セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI

#休養

#励ましてはいけない

#叱責してはいけない

#薬などで必ず治る

#寛解する

 

うつ病の経過#ハッシュタグ

#数年以内に再発

#再発率:50%

#再発しても同じ薬で治る

 

うつ病のキーワード#ハッシュタグ

#おっくう めんどくさい

#何をしても楽しくない

#好きなこともたのしめない

#今まで、できていたことが、できない。

#人と会う、人といるのがおっくう。

#人と話すのが、おっくう。

 

昏迷について説明します。

昏睡状態(植物状態)はイメージできるでしょうか。

わかりやすい例をあげれば、事故などで頭を強く打ち、意識がない状態です。

意識がないので、眠ったようで、まったく動かない状態です。

 

昏迷とは、意識があるのに、昏睡状態のようになってしまう症状です。

意識があり、こちらの言っていることもわかるのに、問いかけには、まったく答えません。自発的にも話しません。体も、まったく動かしません。

食事もとらず、水も飲みません。

 

うつ病では、この昏迷状態になってしまうことがあります。

こうなると、入院して治療します。

薬も飲んでくれないので、点滴で薬をいきます。

怖い症状のように思うかもしれませんが、点滴をして、1週間くらいで良くなり、話をしてくれるようになります。

 

ちなみに、昏迷は他の疾患でもみられます。統合失調症神経症解離性障害(ヒステリー)でもみられます。

 

認知症について説明します。

うつ病になると、思考制止がでて、頭の回転が鈍くなります。記憶力、判断力、決断力が低下します。

脳機能が、だいぶ低下したように感じられます。

 

また、(精神運動)制止もでて、意欲が低下します。動作が鈍く、日常的な仕事の能率も、だいぶ落ちます。

 

年配の方に、これらがみられると、「認知症になったのか」と間違われてしまいます。

そうではなく、これらはうつ病」の症状ため「認知症のようにみえている」だけです。

このことを認知症といいます。偽りの認知症ですね。

 

認知症ではないので、安心してください。

抗うつ薬で「うつ病」が治れば、偽認知症も治ります。

 

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日比谷ガーデンクリニック  日比谷・有楽町  

 

 

次回は、「躁うつ病」を書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。

高齢化社会でのうつ病

激越(型)うつ病

 年配の人では、普通とは違った「うつ病」を示すことがよくあります。

 

一見すると、あまり憂うつそうではありません。

うつ病に特徴的な雰囲気(印象)、「いかにも覇気がなく、エネルギーが枯渇している感じ。」が感じられません。

 

「うつ」ではなく、「イライラして、なんか苦しい。」と訴えます。

主な訴えは、焦燥感苦悶です。

話しをしていると、苦しさは伝わってきますが、憂うつ感は伝わってきません。

 

「胸のところがモヤモヤして苦しい」と、胸をおさえて苦しそうに訴えます。

 

「イライラして落ち着かない。じっとしていられない。」と言って、ソワソワしています。

イライラが強い人は、座っていることができず、立ったり座ったり、歩いたりしています。座っていても、我慢しているので非常に苦しそうです。

 

不安・焦燥が前面に出ていて、一見すると、うつ病にはみえません。

ストレスによる強いイライラと判断され、神経症(ノイローゼ)と診断されることも多いです。

 

しかし、よく話を聞いてみると、憂うつな気分、元気がない、やる気がない、疲れる、何をしても楽しくない、だるい、おっくう、といった「うつ病」の症状を持っています。

 

これが、高齢者によくみられる「激越(型)うつ病です。

 

熟練した精神科医を育てるトレーニン

これは、熟練した精神科医にしか見抜けないと思います。

一見すると、うつ病にみえません。年配の方が「苦しいと」と訴えているだけです。

ここで、診断の選択肢として激越うつ病をイメージできるのは、この病気をみて診断したことのある医者だけでしょう。

 

ですが、精神科の施設で何年かやっていれば、何人かの激越うつ病をみることはできます。

大学病院のようなところであれば、きちんと指導してくれるので、激越うつ病の診断を身につけることができるでしょう。

 

ここでも、きちんとした精神科でのトレーニングが必要となってきます。

繰り返しになりますが、心療内科・精神科の病気は、精神科のトレーニングを十分に積んだ医師にみてもらってください。

 

今後、さらに高齢化社会は進むでしょう。

そのなかで、年配の人に多くみられる「激越うつ病」も増えていくことが見込まれます。見逃せない重要な疾患となってくるでしょう。

 

隠された「うつ」

時間をかけて、よく話を聞くこと。

60代半ば以降の患者さんが来院したとします。

最初、うつ病のような印象は受けません。

しかし、「イライラして、なんだか苦しい。」と訴えた場合は、うつが隠されてないか、よく話を聞いてください。

 

激越うつ病も「うつ病」ですから、エネルギーは枯渇しています。それが、強すぎる焦燥感のために隠されているだけです。

ですから、長く話をしてエネルギーを使っているうちに、だんだん「うつ病」のような印象になってきます。

こうなれば、激越うつ病の確定診断がつきます。

10分診療では見抜けません。

 

「うつ」がみつけられたときは、その患者さんは激越うつ病です。

 

抗うつ薬で治ります。

激越うつ病も「うつ病」ですから、抗うつ薬で治ります。安心してください。

神経症で使う抗不安薬では治りません。

 

ただ、ここでも、前に話したパラドックスがおきます。

きちんとしてない診療では、うつ病でも神経症でも、うつ状態であれば抗うつ薬を出します。ですから、神経症と誤診しても、激越うつ病が治ってしまうケースがあります。

 

これは医学ではありません。素人が抗うつ薬をだしているだけです。

もし仮に、その人が本当の神経症だった場合、無用な抗うつ薬をだすケースが発生します。

 

また、これも前に言いましたが、抗うつ薬は十分量使わないと効きません。

きちんとしてない診療では、副作用を恐れて、十分量の抗うつ薬が使われないことが往々にしてあります。

これでは激越うつ病は治りません。

 

いずれにせよ、激越うつ病神経症と誤診し、患者さんに不利益を与えないことが重要です。

激越うつ病に隠された「うつ」を見逃し、神経症と誤診しないようにしましょう。

それには、きちんとした精神科・トレーニングが必要です。f:id:TakahashiS:20190501085700j:plain日比谷ガーデンクリニック  日比谷・有楽町 

 

 

 

次回は、「うつ病#ハッシュタッグ」を書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。

心療内科・精神科における診断の展望

うつ病の雰囲気(印象)

他の科でもそうですが、医療であれば、心療内科・精神科もふくめ、診断が重要であることを強調してきました。

これは、だれもが納得してくれるはずです。

 

内科や外科では、診断のために、いろいろ検査をします。

 

膵臓が悪くなっている患者さんには、血液検査をします。そして、アミラーゼという物質が上がっていると、膵臓が悪くなっているとわかります。

 

肺に腫瘍ができてしまった患者さんには、胸のレントゲンをとって腫瘍を確認できます。

 

しかし、うつ病を診断できる検査はありません。うつ病を診断できる血液中の物質もありません。

 

うつ病の診断は、症状と経過を観察し、それに基づいて行います。「精神科の経験を十分に積んだ医師の診察」以外に診断法はありません。

 

??? これは良いことなのでしょうか ???

 

診断で最も大切なことは、症状や経過に加え、うつ病に特徴的な雰囲気(印象)を感じとる(観察する)ことです。

その雰囲気とは、「いかにも覇気がなく、エネルギーが枯渇している感じ。」です。

 

ここで、「雰囲気を感じとる」という言葉に違和感を覚えませんか。

心療内科・精神科も医学ですから、当然、自然科学の一つです。

診断とは、病気であることを立証することです。科学で何かを立証するときに、「雰囲気」を根拠とするのか、非科学的ではないか、ということです。

 

その通りだと思います。

「雰囲気」とは主観的なものであり、人それぞれ受け止め方が違います。

科学における証明は、客観的で、だれもが再現できるものでなければなりません。

 

余談になりますが、以前、○○細胞の発見がイギリスのNature誌に掲載されました。

 

Nature誌に載るのは、科学研究のなかで最も難しく栄誉なことです。

長い歴史のなか、日本人が中心で行った精神医学の研究において、Nature誌で取り上げられたものはありません。それほど困難なことなのです。

ですから、Nature誌に掲載されれば、新聞の一面に載り、日本中から注目されるのです。

 

○○細胞はNature誌に掲載されましたが、その後、それを再現できる他のグループがいませんでした。

よって、科学としては認められませんでした。

 

このように、自然科学には、客観性と再現性が必要なのです。

 

うつ病の診断に戻ります

うつ病は、症状、経過、雰囲気から診断され、雰囲気が最も大切と述べました。

症状や経過の判断には、客観性があり、ある程度の精神科・トレーニングを積んだ医師同士なら再現性もあるでしょう。

 

でも、雰囲気に関しては主観的ものであり、精神科・医師の間でも意見が合わないことがあります。

また、「雰囲気」を見極めるためには、きちんとした10年以上の精神科でのトレーニングが必要です。

真面目に勉強している者でも、若い医者では見極められないでしょう。経験があっても、きちんとトレーニングを受けていない医者は、できないでしょう。

 

うつ病に特徴的な「雰囲気」は、きちんと経験を積んだ精神科医の間でしか再現性がないといえます。

なので、うつ病の「雰囲気」は科学としては成り立たないのです。

科学として成り立たないものを、医学で使用するわけにはいきません。

 

医者同士で不一致があれば、それは患者さんの不利益につながります。

医者の間で言っていることが違えば、どれを信用していいかわかりません。正しい診断と、まちがった診断をきかされ、どっちを信用していいのかわからなくなります。

 

せっかくの正しい診断が、患者さんの有益につながりません。

これが、心療内科・精神科の現状です。

 

これではいけません。

これを打破するためには、他科と同じように、病気に特有な物質を探す必要があります。

 

うつ病と関係した物質を発見し、血液検査などで検出できるようにするのです。

これなら、若い医者でも、熟練の医者でも、同じ診断ができます。

 

私は、精神疾患の遺伝子の研究をしています。

原因となる遺伝子を発見し、そこから原因となる体内の物質をみつけようと考えています。

 

将来的には、原因物質がみつかり、内科や外科と同じような客観的診断ができることを望んでいます。

 

残念ながら、現時点では原因物質はみつかっていません。なので、客観的診断はできません。

 

でも、安心してください。

きちんとしたトレーニングを積んだ精神科医であれば、的確な診断と治療を提供できます。

ただ、「だれもができるわけではない」といったところが問題なのです。

 

なので、くれぐれも、正確な診断と治療をしているクリニックへの受診を勧めます。

 

他の病気でも雰囲気(印象)は重要です

精神科の二大疾患は統合失調症うつ病です。

 

皆さんが精神疾患をイメージするとき、まず連想しているのが統合失調症だと思います。

 

統合失調症も、「統合失調症らしい雰囲気」が診断の決め手になります。

この雰囲気には名前がついており、プレコックス感といいます。

 

言葉で説明するのは難しく、見てもらわないとわかりません。

実際、臨床実習で学生に説明するときも、見てもらわないと学生もピンときません。

 

ただ、10年以上、精神科のトレーニングを真面目に受けていれば、見分けがつくようになります。

大げさではなく、きちんとしたベテランの精神科医であれば、診察室に入ってきただけで、「統合失調症かな」とわかります。

 

このように、うつ病でも統合失調症でも、その雰囲気(印象)が診断の決め手となります。

 

きちんと精神科のトレーニングを受けていない場合、この雰囲気がわからず、統合失調症の患者さんが「うつっぽいんです」と言ったりすると、うつ病と誤診してしまう医者もいます。

 

ですから、心療内科・精神科の医師には、きちんとした長年の精神科・トレーニングが必要なのです。

これぐれも、このことをふまえて、受信するクリニックを選んでください。

 

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日比谷ガーデンクリニック  日比谷・有楽町

 

 

次回は、「高齢化社会でのうつ病」について書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。

適応障害の症状と治療

適応障害神経症の一つです。神経症とはノイローゼのことです。

神経症には、いろいろあります。パニック障害、対人恐怖、PTSDなども神経症です。

 

神経症には、いろいろありますが、すべての病気の中核症状は不安です。

根底にある不安感から発生し、いろいろな症状をだします。

 

パニック障害なら、不安にもとづきパニック症状(動機、過呼吸など)、対人恐怖なら、不安にもとづき「あがり症」をだしてきます。

 

症状

適応障害のメインの症状は「うつ」です。

また、神経症のなかで、もっとも「うつ」をだしてくるのが適応障害です。

 

しかし、適応障害「うつ」は二次的なものと考えていいです。

適応障害神経症なので、その根底にある症状は不安です。

ストレスに対する葛藤から、強い不安が生じ、それに苦悩して「うつ状態」になっているのが適応障害です。

 

うつ病適応障害の鑑別診断

両方とも「うつ」を示します。

患者さんに「うつ」がみられる場合、「うつ状態」といいます。うつ病適応障害も、同じ「うつ状態」にあるわけです。

 

うつ状態の違い

うつ病:重い     適応障害:軽い

 

うつ病「うつ」は非常に重いです。

仕事もできなくなります。

好きだった趣味や遊びもできなくなります。休みの日も、外出する気になれず、家で休んでいます。

 

適応障害「うつ」は軽いです。

しかし、ストレスのため会社がイヤになっているので、休むことが多いです。

前よりは楽しめませんが、好きだった趣味や遊びは、やろうと思えば、やれます。ただ、ストレスで疲れがたまっているので、やらないことが多いです。

うつ病では、やろうと思っても、やれません。

 

※発症年齢の違い

うつ病は、30代後半から40代に発症します。

20代で発症することは稀です。20代で発症した場合は、うつ病以外を考えます。

 

適応障害全年齢でみられます。

20代でも多いです。

 

※病前の特徴(病前性格)の違い

うつ病

うつ病になる人の特徴は、仕事熱心、真面目、几帳面、責任感が強いことです。ようするに、きちんと仕事をして、まわりからの信頼も厚く、まじめで非常に良い人です。

うつ病になるのは、こんな感じの人です。

 

適応障害

適応障害になる人は、ストレスに弱い傾向を持っていることが多いです。

でも、環境が極端に悪い場合は、ストレスに弱くない人でも、なってしまうことはあります。

 

うつ状態の患者さんが来院し、1)病前の生活歴に問題がなく、2)30代後半から40代で発症し、3)非常に重いうつ状態になっている、こういったケースは「うつ病」です。

これにマッチしない場合は、うつ病以外を考え、そのなかで最も多いのが適応障害となります。

 

また、うつ病の診断の際に述べましたが、うつ病に特徴的な雰囲気(いかにも覇気がなく、エネルギーが枯渇している感じ)も重要です。

むしろ、これが一番重要で、これが観察できれば(感じられれば)うつ病と診断できるといってもいいです。

 

ここで一つ、上記を読むと、適応障害になる人は「生活歴に問題があるのか」となりますが、そんなことはありません。うつ病に、こういう人が多いというだけで、生活歴に問題がある人が適応障害になるわけではありません。

 

治療

適応障害の治療は、環境調整、精神療法(カウンセリング)、薬が必要です。

職場の環境が悪く、もしくは合わず、適応障害になっている場合、環境を調整することが軽快につながります。

 

転職する

休職する

部署を変える

休職して部署を変える

仕事量を減らす

仕事内容を変える

合わない人と距離をとる(フロアを変えてもらう、デスクを変えてもらう等)

など

 

休職した場合、短期間で軽快するケースが多いです。

環境調節がスムーズに行われても、必要であれば精神療法、薬物療法も行います。

休職するまでは「うつ」は続きます。また、休職後も、短期間ですが、うつが残る場合があります。こういったとき、精神療法、薬物療法も必要です。

 

環境調整には医師の診断書が必要となるでしょう。適応障害の診断がつけば、診断書をだすことはできます。

この際、適応障害を、うつ病と誤診するようなことは避けてほしいと思います。

 

現在、社会での「うつ」は大きな問題としてクローズアップされています。

なので、ほとんどの企業で適切な対応をしてくれると思います。また、そう望みます。

 

ただ、企業側の制度や方向性、そのときの状況で、意に沿わない処置がなされることもあります。

こういった場合は、精神療法(カウンセリング)と薬物療法を積極的に行っていきます。

 

カウンセリングは、支持的(サポーティブな)精神療法を行います。

患者さんの「つらさ」に共感し、それをサポーティブに支えていきます。

根気よく、患者さんの「つらさ」と付き合います。

 

薬は抗不安薬を使います。

適応障害では、ストレスがかかり、そのストレスとの葛藤が生じ、それによる不安が発生しています。

適応障害を含め、神経症では、この不安感が根底にあるコアな症状です。うつは、これから発生する二次的なものと考えられます。

 

ですから、適応障害には、不安をとる抗不安薬を使います。

うつの基になっている不安をとって、うつをやわらげるのです。

 

うつ病の治療のところでも言いましたが、適応障害「うつ」には抗うつ薬は効きません。

 

うつ病は、脳内でセロトニンが減少し、それによって一次的に「うつ」になっています。うつがコアな症状です。

抗うつ薬は、このセロトニンを増やします。なので、うつ病抗うつ薬で治ります。

 

適応障害も同じ「うつ」となりますが、脳内のセロトニンは減っていません。不安により二次的に「うつ」になっているだけです。

ですから、抗うつ薬は効きません。

適応障害において、抗うつ薬は無用な薬といえます。無用な薬をもらうのは、やめたほうがいいです。

 

まとめ

うつ病の治療は薬が中心です。

適応障害の治療では、環境調整、精神療法(カウンセリング)、薬が同レベルで必要です。

うつ病抗うつ薬で治療します。

適応障害抗不安薬で治療します

 

何度も言いますが、このように、うつ病適応障害では治療法が違います。

ですから、的確な診断が必要なのです。

正確な診断がなければ、「治らない」、「無用な治療を受ける」といった、不利益ばかりが生じます。

 

ぜひ、きちんとした診断を行っているクリニックでみてもらってください。

 

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 日比谷ガーデンクリニック  日比谷・有楽町

 

 

次回は、「心療内科・精神科における診断の展望」について書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。

適応障害

うつは、いろいろな病気でなります。

患者さんが「うつ」を訴えたからといって、うつ病ではありません。それは、患者さんがうつ状態になっていることを意味します。うつ状態イコールうつ病ではありません。

うつ状態は、いろいろな病気でなります。

 

うつ状態になる疾患

うつ病

神経症

人格障害

過食症・拒食症

※ 月経前緊張症

認知症

※ アルコール依存・薬物依存

※ 体の病気(甲状腺の病気など)

など

 

うつ病以外で「うつ」になる病気の代表的なものに神経症があります。

神経症は、簡単にいえばノイローゼのことです。

職場環境の悪さ、上司との相性が悪い、失業、いじめ、受験に失敗、失恋、家庭環境の悪さなど、ストレスがかかり、それに反応して「うつ」になっている状態です。

 

ノイローゼなので、だれでもなる可能性があります。

強いストレスがかかれば、私でも皆さんでもなる可能性があります。

 

ただ、ストレスに強い人と、弱い人がいるので、ストレスに弱い人のほうがなりやすいといえます。

 

神経症にも、いろいろあります。

パニック障害とかは聞いたことがあるかもしれません。有名人の方がなったりして、耳にした人も多いと思います。

パニック障害神経症の一つです。

 

神経症のなかで「うつ」になる疾患のうち、今、もっとも多いのが適応障害です。

 

現在、うつ病が増えているといいますが、うつ病が増えているわけではありません。うつ状態の人が増えているのです。

うつ病は、今も昔も変わらず、発症率は1%です。

100人に一人が、うつ病になります。以外に多いと感じるかもしれません。そう、うつ病は一般的な病気なのです。

 

うつ病は1%ですが、うつ状態の発症率は5%になります。20人に一人が、生涯を通じて1回は「うつ」を経験することになります。これは、かなり多いですね。

40代の男性の生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症)に迫る割合です。「うつ」は身近な病気です。

 

余談になりますが、うつ病に男女差があるといわれています。

でも、うつ病には性差はありません。うつ病は、男性でも女性でも同じ割合で発症します。

男女差があるのは「うつ状態」です。これは、明らかに女性のほうが多いです。

 

発症年齢も、うつ病なら30代後半から40代ですが、うつ状態であれば全年齢でみられます。先に言ったように、いろいろな病気でなりますから、全年齢で「うつ状態」になる人がみられます。

 

適応障害にもどります

「現在、うつ状態の人が増えている。」と述べました。

その通りで、うつ状態が増えているのですが、そのなかの、この適応障害が増えているのです。

 

「非定型うつ病」というものを提唱する学者もいますが、これは確立された概念ではありません。これの、ほとんどが適応障害に該当すると思われます。

なので、抗うつ薬は効きません。前回、言ったように、神経症「うつ」には抗うつ薬は効きません。

 

職場や家庭での問題がストレスとなり、苦悩して「うつ状態」になってしまうのが適応障害です。

そのため、職場でうまく働けない(適応できない)状態となり、仕事に行けなくなってしまいます。

 

うつ病以外で「うつ」になる、もっとも多い疾患が適応障害です。

さらに、現段階において、うつ病より、その患者数は多いです。つまり、今の社会で「うつ」になる病気で最も多いのは適応障害といえます。

 

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日比谷ガーデンクリニック  日比谷・有楽町

 

 

次回は、適応障害の症状と治療について書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。

うつ病の治療 #3

うつ病は再発する病気です。

うつ病は薬で治ります。でも、残念なことに再発してしまいます。

全部の人が再発するわけではなく、初めてうつ病になった人の半分(50%)が2回目のエピソードを経験してしまいます。

 

薬が合えば、3、4ヶ月で完全に治ります。100%元の状態に戻れます。

治った後、6ヶ月くらいが再発危険期間です。ですから、この間は、元気でも、再発予防のため薬を続けなければなりません。

治ったからといって、この間に薬をやめると、かなり高い確率で再発してしまいます。

 

再発危険期間の後に薬をやめると、前に言ったように、50%の人が再発します。

薬をやめないと、ほとんど再発しません。

 

でも、30代後半で発症し、1年くらい(治るまでの4ヶ月+再発危険期間の6ヶ月)服薬して治ったとします。

完全に治るので、全く元気になります。その状態で、30後半から、「何十年も再発予防のためだけに通院し薬を飲み続けるか」というと、ほとんどの人はしません。

 

ほとんどの患者さんが、「半分は再発しないなら、とりあえず様子をみよう」ということになります。

 

また、再発しても怖くないことを説明します。

再発は怖くありません。

再発しても同じ薬で治ります。うつ病になって、Aという薬で治ったとします。その人が再発した場合、またAで治ります。

 

さらに、うつ病を経験した人は、また「うつ」になった時に、「あれ、おかしい、うつかな。」と早く気付いてくれます。

なので、早めに受診してくれます。受診してもらえば、うつ病の再発なのか、ただの疲れなのか、診断できます。

うつ病の再発なら、治療を開始し、早期介入で早く治すことができます。

 

うつ病の再発率は50%

※ 再発は怖くない

これらを患者さんに伝えると、ほとんどの人が、治った後は薬をやめます。

 

どんな人が再発するか

何度も言いますが、初発のうつ病の患者さんが来院した場合、再発する可能性は50%です。

半分は再発して、半分は再発しません。

 

では、どんな人が再発するか。じつは、それは、わかりません。

初発の時点で、再発しやすい人と、しにくい人を見分ける方法はありません。

ですから、「再発しやすい人がわかる検査がある」といった情報があっても、あまり信用できません。このことをふまえ、いろいろな情報に惑わされないようにしてください。

 

「再発のしやすさ」は、経過をみないとわかりません。

☆ 初発の人が1回目の再発をする可能性は50%

☆ 1回再発した人が2回目の再発をする可能性は70%

☆ 2回再発した人が3回目の再発をする可能性は90%

 

このように、経過をみて、2回再発している人は、再発するタイプだとわかります。

このことを患者さんに伝え、2回再発した人には、薬をやめないで再発を予防したほうがいいでしょう。

 

ちなみに、再発は数年くらいの間に起きます。

2回再発した人が薬をやめた場合、数年以内に3回目を90%の確率で発症することになります。

 

うつ病はつらいので、再発しないほうがいいです。

うつ病のつらさと、90%の再発率を考えれば、服薬は必要だと思います。また、2回の再発(最初を入れると計3回のうつ病エピソード)を経験すると、患者さんも服薬を続けることに同意してくれることが多いです。

 

治療・裏話

何度も言いますが、なぜ、うつ病「うつ」になっているのか、そうでないのか、を診断することが重要なのでしょうか。それは治療法が違うからです。

 

うつ病の薬と、うつ病以外で使う薬は、基本的には違います。

うつ病には抗うつ薬を使います。

うつ病以外の「うつ」に関しては、基本的には抗うつ薬は効きません。うつ病以外では抗不安薬を使います。これに関しては、今後の神経症(ノイローゼ)のところで詳しく説明します。

 

ところが、きちんと診断ができないような所では、「うつ」の人が来れば、ほぼ全員へ抗うつ薬をだします。

その結果、うつ病にも神経症にも抗うつ薬が処方されます。

 

ここでパラドックスが起きます。

抗うつ薬が処方されるため、診断ができてなくても、うつ病が治るケースが発生してしまいます。「結果が良ければいいじゃないか」と言うかもしれません。

しかし、これでは医療ではありません。下手な鉄砲を打っているうちに、くじが当たったようなものです。

 

ただ、こういった所では、前々回で述べた「抗うつ薬は十分量まで使わないと効かない」ということを知らず、少量しか使ってないことが往々にしてあります。

この場合、患者さんは良くなりません。

 

また、神経症の人には、基本的に抗うつ薬は必要ありません。ですから、神経症の人では、無用な薬が処方されていることになります。

無用な医療行為がなされることは、患者さんにとって最も不利益なことで、心療内科・精神科に限らず絶対にしてはいけません。

無用な薬を、お金を払って買っていることを想像してください。頭にくると思います。

 

いずれにしろ、このような所では、うつ病以外でも、すべての病気に対して的確な診断が行われず、無責任な診療がなされているのでしょう。

 

最悪ですが、統合失調症抗うつ薬をだしているケースもあります。

こういったケースは、その病院では最終的には手に負えなくなるので、転院することになります。

しかし、転院しても、いままで「うつ」と言われていたので、転院先での統合失調症としての治療には抵抗が生じます。患者さんにとって、とても不幸なことです。

 

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日比谷ガーデンクリニック  日比谷・有楽町

 

 

次回は、うつ病以外の「うつ」適応障害について書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。