うつ病の診断

うつ病における診断の重要性

何度も言いますが、患者さんが「うつ」を訴えたとしても、それは「うつ状態」であり、即、うつ病とは診断できません。うつになる病気は、いくつかあります。

 

これも何度も言いますが、なぜ、うつ病「うつ」になっているのか、そうでないのか、を診断することが重要なのでしょうか。それは治療法が違うからです。

 

うつ病なら薬で治します。

うつ病以外で「うつ」になっている人には、薬も使いますが、どちらかというとカウンセリングが中心になってきます。

また、うつ病の薬と、うつ病以外で使う薬も、基本的には違います。

 

ですから、きちんとした診断が必要なのです。

 

心療内科・精神科の診断

内科や外科では、診断のために、いろいろ検査をします。

 

お酒を飲みすぎて肝臓が悪くなっている患者さんには、血液検査をします。そして、γ-GTPという物質が上がっていると、お酒のせいで肝臓が悪くなっているとわかります。

 

脳腫瘍ができてしまった患者さんには、頭のMRIをとって腫瘍を確認します。

 

しかし、心療内科・精神科の病気では、認知症、知的障害、てんかん以外には有効な検査はありません。

うつ病を診断できる検査や頭部MRIの所見はありません。うつ病を診断できる血液中の物質もありません。

ですから、なにかの検査をして「うつ病」を診断することはできないのです。

うつ病を診断できる検査はありません。これをわかって、いろいろな情報に惑わされないようにしてください。

 

うつ病の診断は、診察して症状と経過を観察し、それに基づいて行います。「精神科の経験を十分に積んだ医師の診察」以外に診断法はありません。

 

うつ症状のチェックリストを用い、何点以上は「うつ病」であるとかもダメです。うつ状態は検出できるかもしれませんが、うつ病の診断はできません。

うつ病の診断は、診察によってのみ可能です。

 

良い診察を受ける

でも、ただ診察を受ければいいというわけではありません。良い診察を受けてください。

 

良い診察とは、当たり前ですが、「きちんとした医者にみてもらう」ということです。

 

では、「きちんとした医者」とは、どんな医者でしょう。

大学病院などの、きちんと指導してくれる施設の精神科で10年以上勤務し、まじめに勉強してきた医者です

 

きちんと教育・指導を受けてきたことが大切です。

残念なことに、心療内科・精神科の医療では、我流でも通用してしまうところがあります。

対患者さんのことですから、我流はダメです。何事もそうですが、心療内科・精神科の診療にも決まりがあります。

 

その決まりを、このブログで書いています。

 

精神科で勉強していたことが重要で、やはり、うつ病を診断するためには、精神科でのトレーニングが不可欠です。

 

まじめに10年くらい精神科をやっていると、患者さんの表情や行動を見ただけで、ある程度、診断ができるようになります。

 

実際の診断

それでは、どうやって「うつ病」を診断するか、述べていきます。

 

 態度/表情をみます

すぐれない表情で、覇気(エネルギー)が感じられません。

笑顔もみられません。

つらそうです。

声は小さく、声に力がありません。口数も少ないです。

話すのも、おっくうそうです。

はやく帰って休みたい、という感じです。

 

病前性格をみます

うつ病になりやすい人は、仕事熱心、真面目、几帳面、責任感が強い人です。

ようするに、まじめで、きちんと仕事をして、きちんと生きてきた良い人です。まわりからの信頼もあついです。

 

こういう人であるかをチェックします。

 

発症年齢をみます

うつ病は、30代後半から40代中ごろに多く発症します。

発症が、このくらいの年齢であるかチェックします。

 

症状をみます

非常に強い憂うつ感

楽しくない、元気がない、なんかさみしい、と非常に強く感じます。

これらは苦しみも伴い、非常につらいです。

 

興味、喜びの著しい減退

何事にも興味が持てず、今、世間で起きていることに対して興味や関心がわきません。

 

何をしても楽しくない。

好きなことをしても楽しく感じません。それ以前に、おっくうで、好きなこともやらなくなってしまいます。

 

おっくう

何をするのも、おっくうで、めんどくさくなってしまいます。

何もしたくありません。

 

食欲が減る

食欲が減り、何キロもやせてしまいます。

食べても美味しくない、味がしない、砂を食べてるように感じてしまいます。

 

頭の回転が鈍くなった

頭の回転が鈍くなり、考えられない、集中できない、物事を決められなくなってしまいます。これを「思考制止」といいます。

 

疲れやすい/だるい

「易疲労性」といいます。

 

自殺

「つらすぎて死んだほうがましだ」と思ってしまいます。

希死念慮」、「自殺念慮」といいます(同義語)。

 

※ もっとも重要なのは、態度/表情からくる「うつ病」に特徴的な雰囲気です。これが決め手となります。

ですから、よく患者さんの態度/表情を観察し診断していきます。

 

うつ病以外でも、心療内科・精神科の病気は、その病気に特徴的な雰囲気を感じ取ることが重要となります。

この雰囲気を感じ取るためには、精神科での10年以上のトレーニングが必要となります。

 

このように診断していきます。

前にも言いましたが、診察のみで検査はありません。

 

 

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日比谷ガーデンクリニック  日比谷 / 有楽町

 

次回は、うつ病の治療について書きます。

 

興味のある方は、ご覧になってください。

よろしくお願いします。それでは。